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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第3章 ~偽りの気持ち~
「諦め悪い訳じゃない、その必要がないだけだ。俺は永劫未来お前のものだから」
「…………それは、まあ、いっか。じゃあ、私は永劫未来ルカのものね」
「当たり前だ、誰にも譲る気はないよ」
互いの役目は国の為に務めること、個人に尽くすのが役目ではない。そんなことわかっている、特に陛下は国の為に存在する。サクナがどれ程望んでも独占することは出来ない。
それでも、そう言ってくれる気持ちが嬉しいと思ってしまうのは悪いことじゃないよね。サクナの好きになった相手は陛下なのだから。
「サク……お前のこと側で護ってやりたいけど、俺も一応役目があるから、ずっとは無理、だからコレ」
ルカはサクナの左手をとり薬指にリングをはめる。
「お前を護るお守り、どんなに遠く離れても、お前を護れるように…………」
「あ、ありがとう」
サクナはルカに抱きついた。
リングに光る赤と青の魔石、術者にとって特別なものだった。その価格もけして安いものではない、高価なものを受け取ることに気が引けるが、返すのはもっと気が引ける。
きっと、素直に受け取っていいのだとサクナはその気持ちを伝えた。