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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第3章  ~偽りの気持ち~


 国王陛下は、言うまでもなくこの国の最高司令官であり、権力者である。

 兄や、ふたりきりで居るときはルカはそれを感じさせない。素直に甘えていいのか疑問におもう。

 ルカに訊いても気にするなっと、言うだろう。

 優しくて人懐っこいからこそ惹かれた部分もあるが、やはり気になってしまう。


 ルカの部屋にゆくとケイルもそこに居た。
 叩き起こされたのか少し眠そうにしていた。

「おはよ兄様」

「ああ、おはよ」

 挨拶を済ませ祭壇のある森へと向かう。


「サクっ」

 ルカはサクナを引き寄せ後ろから抱きしめた。
 ケイルは無空間より星剣を取り出し突如現れたヴァミンに斬りかかる。

『唸れ雷風!』

 無数の獣タイプのヴァミンにルカは術で霧へと変えしてゆく。

 ふたりと居るとサクナの出番は皆無だった。
 だが、サクナは武器召喚の術を使えないことを実感してしまう。

 喪失感を気にしはしなかったが、少し寂しく思えた。

 体内には御身体を感じるのにそれを取り出すことが出来ない。失ったわけじゃないのに今まで出来たことがなし得ないのはある種の喪失感。

 こんな重たい剣使いこなせないなんて父や兄を困らせたのが懐かしくさえ思う。


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