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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第3章  ~偽りの気持ち~


「サク、手つないでいこっか?」

「え、兄様の前で恥ずかしいよ」

「なに今更、恥ずかしんだしっかり護って貰え」


 ケイルはクスッと笑ながらもぶっきらぼうに言ったのに対し、ルカはフッと微笑み手を握ってくれた。

 春の早朝の冷え込みにほんのりと冷たい手が次第に暖かくなる。

 ルカやケイルは直接的には言わないが、自分が寂しく思ったことに気づいていたかのようだ。

 心の中を見透かされてるようで恥ずかしくもなるが、ふたりの思いやりが嬉い。
 

 剣は取り出せなくなったけど護ってくれる人がいる。それに御身体は失った訳じゃない。

 サクナは変わりゆく環境に少し戸惑いつつも前に進んでゆく。

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