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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第3章 ~偽りの気持ち~

森の奥にある祭壇にサクナは祈りをする。
サクナは、リキマシア国の住民だが、祈りは星へと祈る、国だけではなく。星全体の為に祈るのだ。
祈りをすると躯が熱くなる。
星を包む邪気、完全に払うことは出来ない。そして、邪気はこの瞬間にも生まれる。
せめて。少しでも人々が安心して暮らせるよう祈りを捧げる。それが、祈り姫の役目である。
「どうした?」
「なんかいつもより祈りが強くなった気がする」
「ああ、御身体が本来の場所に戻ったからだろ、暫くはヴァミンに悩まされることないかもな」
ケイルは、シレッと言った。
恥ずかしがることではないのだが、兄にそういうことバレるのは少しこっ恥ずかしい。
「ああ、本当だ。ヴァミンの気配が消えたな」
「そうなんだ…………知らなかった」
力を失うものだと思っていたから少し驚いてしまう。子供を産むとその子に御神体は宿る、でもそれも喪失ではない、御神体は常に胎内に宿るものだとケイルは言う。
考えればその通りだった。ケイルもサクナも御神体は宿っている。子を産むと失うのなら長男のケイルを産んだ時に母の御神体は失うはず、でも、サクナもまた御神体を宿している。
身体の一部になるってそういうことだったのか。
サクナは今更ながらそのことに気づいた。

