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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第3章  ~偽りの気持ち~

 執事長室は中庭の先にあり、サクナとユイナは回廊を歩く。

「ごきげんよう、姫様」

 そこに現れたのはマリー・ブラッド。昨日サクナを騙した張本人である。その後ろにも見慣れた貴族の娘が何人かいた。

「まあ、姫様。大変お似合いですわね」

 マリーは、肩と胸元の開いたドレスを着ていてその豊満な胸を強調された。

「ありがとうございます」

 嫌味とわかっていても礼を言うのが筋、サクナはあまり関わりたくないのでそのまま後にしようとした。

「姫様。噂で聞いたのですが、縁談をお受けしたとか?」

「…………はい」

「ま、それで早速成り者顔ですの? まだ、挙式も済ませてもいないのに」

「…………いえ、そういうつもりは」

 どうやらマリーは、立ち去ろうとしたことにケチを付けたい様子。どう行動しても同じだったかもしれないが。

「まあ、本当に挙式を挙げれるかはわかりませんけどね」

 マリーを始めのする他の貴族たちもクスクスと笑う。

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