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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第3章 ~偽りの気持ち~

「姫様。勘違いもほどほどにされませんと、陛下の恥になりますわよ? 丁重にお断りするのが筋ってものじゃございませんこと?」
「いえ、もう決めたことですから」
「後悔しますわよ、愛のない結婚ほど虚しいものはありませんもの」
愛のない?
サクナは、思わずキョトンとしてしまう。
「まさか、姫様、愛されてるとでも思っているのですか?」
サクナは応えずにいた。
皆が『祈り姫としか』と、口を揃えていう意味がようやくわかったからである。
「姫様が祈り姫ではなかったら相手にもされてないのですよ? そんなの虚しくありませんの? そうまでして妃になりたいなんて、図々しいと思いませんこと?」
「いえ、そう言われましても、私が祈り姫という事実が変わるわけじゃないので。虚しいなんて思いません」

