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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第3章 ~偽りの気持ち~

午前中は、レオナールに作法を習う。
国王と結婚すれば、王家に入ることになる。
王妃は、王族や貴族よりも地位は高い。
社交界では、無理に令嬢たちと親しくする必要はないとレオナールは言う。
「ですが、けして令嬢たちのような態度は王妃として相応しくはありません。やんわり笑顔で回避するのです」
長い王家の歴史のなか、爵位のないもなのが王妃となった事はない。令嬢たちはプライドと誇りのためサクナを認めないだろうと。
奇しくも今の現状は、令嬢達の本心を見るいい機会だとレオナールは言う。
「恋愛の自由が認められてるのです、自分は貴族だからと他人を見下す時代はいずれ変わってゆくでしょう。いつまでも高貴な血筋を大事にしていては身を滅ぼすだけです」
「身を滅ぼす?」
「財産も家も、永遠ではありませんからね、王家に媚を売るだけでは家の繁栄は出来ません。これからは知識と知恵、自らの力で家を守らなければ路頭に迷い高貴な血筋というプライドが邪魔をし身を滅ぼすのです」
いずれ妃となるサクナに嫌味を言う貴族の娘たちは愚かだとレオナールは冗談混じりで話す。サクナの現状を知り遠回しに気にするなと言いたいのかも知れない。

