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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第3章 ~偽りの気持ち~
「しかし、卑下し過ぎるのもよくありませんよ、自分は庶民だからと身を縮めていては秩序の乱れにもなります。陛下も親しい者には心を許しますが、誰にでもへりくだってる訳ではありません。毅然とした態度も必要なのです」
「大変なのですね」
「ええ、気の疲れる立場ですからね。陛下はだから姫さまを選ばれたのでしょう」
サクナは、ん? とレオナールを見る。
「妻になる人にまで気を使っては気が休まる時がありませんからね。存分に陛下を癒してあげてくださいね、姫様」
心のモヤモヤが晴れる思いがした。
自分は何もわかっていなかったのだと。
「ま、あまり仲が良過ぎるのも困りますけどね、気を引き締める時と安らぐ時の区別をしっかりなさって下さい」
サクナはコクっと頷いた。
マリーの言葉に惑わされ、大事なことに気づけなかった。ルカは恋愛をしている訳ではない、家族になるのだと。
愛してるとも好きだとも言われたことはないが、ルカは自分を必要としてくれているのはわかる。
それでいい…………愛は見返りを求めるものじゃない。与えるものなのだから。
それが、家族の無償の愛というもの。