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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第3章 ~偽りの気持ち~
執事長室を後にし、お昼前となる。
サクナは執務室へと向かう。ドアをノックし「どうぞ」と声がかかり部屋へ入る。
「あ……」
ルカとケイルはサクナをジッと見る。
初めて見せる着飾った姿は何げに恥ずかしい。
「へぇ、似合ってるな」
「おい、ケイル俺より先に褒めるなよ」
「…………別にいいだろ、そんなの」
こうしてルカに会うと何を不安になることがあるのかと思わせる。
むしろ、ルカの気持ちより、妃として学ぶことに気を使わねばとサクナは気を引き締める。
「可愛いよサク」
「あ、ありがとう」
ルカとケイルは、仕事を中断しソファーに移る。
「サク。部屋に入る時ノックしなくていい」
「え、でも」
「声かけれないときもあるかも知れないし、勝手に入っていいよ」
それは無作法とも言える行為。
でも、それが特別であると思わせてくれる。
ルカは「好き」とも「愛してる」とも言わない。
だけど、本当に言わないだけで、側にいるとルカ
の想いをヒシヒシと感じる。
────自惚れでもいいや、私の想いは変わらないのだから。