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ただ犯されたいの
第12章 【お風呂の中でイケナイ性教育】
フラフラ歩くもんだから腕を掴んでくれてて、道中は何話したか全然覚えていない。
楽しかったくらいで記憶もフワフワしていた。
「息子さん大きくなられましたか?」と耳元で聞かれた気がしたので「はい」と答えたつもりがフラついて上司の胸に倒れ込んだような。
トントン……と心地良い響き。
背中を擦られていたみたい。
少しだけ夢見心地だったけど、次にハッと気付いた時はリビングのテーブルで椅子に座り突っ伏していた。
「はい、水」と手渡されたのは息子から。
「あれ?国枝部長は?」
辺りを見渡しても居るはずもない。
そうだ、此処は私の家なのだから。
男の人なんて入れた覚えはない。
呆れた息子から「めっちゃ酔い潰れて帰ってきたぞ」と悪魔の囁き。
サーッと血の気が引いていく。
「私、何かやらかした!?一緒に男の人居た?」
「玄関まで送ってきてくれたよ、名刺貰ったし」
どれだけスマートなの!いや、そこに感心してる場合じゃない。
慌てて電話して謝った。
電話口で終始笑ってくれて「貴重な滝田さん見れました、良い息子さんですね、お礼言われましたよ」と通話しながら息子とも目が合う。
ペコペコ頭を下げる情けない親の姿見せちゃったな。
電話を切った後、頭をクシャっと撫でて「ありがとうね」と言った。
「その国枝部長って人に想い寄せてんの?もしかして俺の存在が邪魔してる?」
そんな事を言うもんだから思わず抱き締めた。
「バカね、そんなわけないでしょ!どこぞの世界に子供を邪魔だと思う親が居るの!宝物だよ!一番に愛してるの!」
ギュッと力入れたら普通に「痛い」と言われ離れる。
「だっておめかししてんじゃん、髪も巻いてさ、普通にデートコーデじゃん……本当は帰りたくなかったんじゃね?」
どの口が言うのかな?って頬を両手で挟んだ。
「お母さんはね、あんたが居るから踏ん張れるの、生きる糧なんだよ、重いって言われても一生愛せるのは息子だけ……あんたが笑って生きてくれたら他には何も要らない」
泣きながら言ってた。
心からそう思うのよ。
親の心子知らずってよく言ったもんだ。