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ディックガールちゃんとカントボーイくん
第1章 僕はカントボーイ
土曜日の朝。
学校が無いので、帰宅部の僕は運動部の男根から逃れることができる素晴らしい日だ。

けれど、高校生に休みはない。
お小遣いアップの為、土曜は終日バイトの予定がある。

ケータイでシフト確認。
今日は……ここか。


訪れたのは、よくある広い公園。

「えーと、青パーカーに白キャップ……
175cmくらいでベンチの……そば。」

あの人か、と見当をつける。

目立たない人で、見つけるのに時間がかかった。
なかなか顔はイケメンじゃん。
こんな人もこんな性癖持ってるのか。

そんなことを考えながら声をかける。

「こんにちは!」

営業スマイル全開で声を掛ける。
これも仕事のうち。

「君がユーヤくんだね。
今日はよろしくね」

「はい!
予約で、今日はすぐにホテルに行きたいとのことでしたが、変更はありますか?」

「ううん、ユーヤくんがこんなに可愛い子だったなら、ホテルに行くしかないでしょ」

「ありがとうございますっ。
では早速、行きましょうか」

営業スマイルだと割り切って、不快感は顔に出さない。

この人も、同じだ。
僕のことを僕だと思ってない。
性欲の掃き溜め、膨らんだ肉棒を突っ込むための穴、くらいにしか思ってないんだろうな。
と、思いながら……かけらにも思っていないようなことを口に出す。
これが僕の生き方だ。


男性向け……もっと言うと変態なお客様向け。
高校生をサラッと雇ってしまうくらい法律スレスレ(アウトなのか?)のお店。
行為も基本黙認というとんでも風俗。
僕の仕事場はもっぱらホテルだ。

カントボーイなんてマイノリティを指名してくるような通なお客様は、デートコースなんて視野にも入れていない。
男が男に挿れられてヨガっているのに興奮して楽しむのだ。

まあ、指名される回数が多い程お金が入るのは唯一ありがたいところだけど……。

ただし、女性器のついた性別を全て道具として扱うような人間も、この界隈にはいなくもない。
ローションは必須……。
おまんこを少し濡らすことは忘れない。

怖くてもバイトを続けてるのは、お金の為だ。
決して性欲が抑えられないからじゃない。
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