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契約的束縛・過ぎ来し方(すぎこしかた)のメモリー
第3章 メモリー仁科

「人とは……なんなのだろうか?」

『人でありたい』とそう願いながら人が分からない私、表向きは理解しているだが日常での行動全てまでを理解しているのか? いや今こうして気を抜く事を知ったくらい理解出来ていなかった。

「今までが今までなんです簡単には理解出来ないでしょう」

産まれてすぐに盟主を運命づけられ人とは価値観の違う生活をし、暫くの間は放浪し人の中には混じったがそれはもう時代遅れの過去だが、その期間でも盟主……希少種としてのプライドはあった私の中で。
希少種は人とは少々異なる、異質な色彩、長い寿命、強靭な肉体、そして自然を見自然を操る力、それらを持つ者が希少種と呼ばれた一族、だがそれも衰退し生き残ったのは私一人。
広いこの世界で私一人きりで人とは異なる人生、だからなのか人と交われないのは、人を理解出来ないのは。

「大丈夫そう思っていましたのに……。これなら昔のほうが上手くやっていた、今の人間は裏表があり過ぎますよ」

仮初でも平和な世の中で人は変わっていき、集団から個人主義へと移行した現代事情が私を苦しめる。あまり他人とは接しない、心開くことが少ない、それなのに他人に対して臆病、少ない間に見た人はこう変わっていた。予想以上に変化した人の心は私には理解出来ないものらしい。
どうであれ私も古いタイプなんでしょう、感では認識出来ても腹の内までは完全に読む事が出来ないのだから。
この葛藤がいつまで続くのか? それは私自身も分からない。
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