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遠き隣人
第5章 心理戦
教生時代は、学費にも困り、パパに援助してもらったりしていた。
そのパパが男子校の理事長だったのだ。

しかし、ここの教生に来た時に知り合ったわけではなかった。

私が繁華街をフラフラと歩いて物色していた時に知り合ったのである。

それは繁華街の中のある掲示板にある情報がたまに書かれてあるため、私はたまに足を運んでいた。

要は、援助募集のお知らせですよ。JKの間にしか分からない暗号みたいなやつです。

理事長は当時、かなり幅を利かせていて財産にかこつけて、豪遊していたのを覚えている。

パパが理事長だったからって、私は講師の口利きを口止め料代わりにした覚えはない。

パパが勝手にそう仕向けたのだから。
私には責任はない。
パパの勘違いだったのかもね。

私は言いよったつもりもないし、せびったり、迫ったりしたり、脅したつもりもない。

バラされるのが怖かったのかもしれないが、パパほどの実力者だから、財にものを言わせてどうにでも出来るはずである。

私は“たまたま”ツイていたのかもしれない。

『何故?••••何でよ••••。なんで次がアタシなんだよぉ!!!』
『絢ッ•••!!』名前を言う途中で言葉を詰まらせたのは、優子だった。

優子が朝、登校すると、優子の机の上に例の“マスク”が静かに置かれていたのである。

クラス中は、シ〜ンと静まりかえる。
皆、クラス中が疑心暗鬼である。
仮面を被った偽りの仲良しこよし状態。

みんながみんなを心の奥底で腹の探り合いをしていた。
機嫌を損ねないようにし、愛想笑いさえも浮かべた。
ゴマのすり合い。

そんな事をして何になるのか、状況を見たら小学生にさえ分かる事だ。

私たちは、皆して友人の顔色を伺いながら日々を過ごしてきた。

普通の女子高生なら、シャンプーはどこのメーカーがいいだとか化粧のノリ具合だとか、どこそこの食べ物が美味しいとかひっきりなしの会話だろう。

《誰がこのローテーションを止めてくれるんだろう•••》
《優子の次は誰だろう••••?優子は誰を選ぶんだろうか?あまり今日は優子に近寄らないほうがよさそう••••》

見るといつの間にか優子の周りには誰もいなかった。
優子の周りの机一帯がガランとしており、1人淋しく座る優子がいた。



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