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彼女に抱かれたい
第17章 それから…
ピッ!!



ヴォォー‼︎‼︎



スタートの電子音と同時に全員が一斉に飛び込み、轟音のような声援が立つ。

彼は他の選手より少し長くドルフィンキックを打ち、浮上した。
すさまじい程のキックと力強いストロークで、横一線に並ぶ選手の中、彼が頭一つ分抜けている。

スタートは上々だ。
「いけー‼︎サトシくーん‼︎」

早くも50mのターンに到達する。
ターン後からが彼の得意な時間だ。
これならいける!

ターン後もキックとストロークは衰えず、むしろ加速しているように感じる。
彼のストロークに合わせて響く轟音のような声援。

残り15m!
100m自由形だというのに、彼は2位と身体一つ差をつけている。
余程失速しない限り優勝は目の前だ。

私は震えながら立ち上がり、全力の声援を送った。
「いけー‼︎あと少し‼︎いけー‼︎」


彼の手が着く。
"49.12"




はっ!!
うそ…これって…!!




自己ベストはおろか、彼はインターハイレコード更新の大記録を打ち立てる優勝を果たした。


拳を突き上げて咆哮を上げる彼を見て、私は涙が溢れた。




私たちの出会いは水泳がもたらしたもの。
それも肩の故障という哀しみに暮れている中での出会いだった。


そんな彼が再びプールへと戻って泳ぎ出し、紆余曲折を経て、今、輝かしい最高の瞬間を迎えたんだ。

彼の努力は嘘をつかなかった。努力が身を結んだ。
リハビリの時から、哀しい目の奥で燃える闘志は消えていなかったんだ。
彼の努力によって花開いた才能。

こんなにもカッコよくて男らしい彼は私の婚約者なんだ。



私たちの出会いは決して必然ではなかった。
彼が肩を故障しなければ、こんな今はなかった。
あの時私が彼の担当にならなければ、こんな今はなかった。


何か一つでもピースが違えば、こんなにも幸せな今はなかったのだから。

これまでの想いが涙とともにあふれて止まらなかった。
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