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朱になる
第1章 運命の出会い

セックスが終わったあとでも こんなあからさまな愛情表現をされるのは 朱音には 初めての経験だった。抜け殻のような身体の奥から 歓びが 沸きあがって熱くなる。
「慎二さん・・・ そんなにいっぱい次があるの?」
「朱音が 逃げ出すまで 次が続く」
逃げ出す? この人から?
返事ができずにいると
「一緒に シャワーをあびよう」
ひょいっと 朱音を抱き上げ
「あかねちゃん おもい・・・」
「あっ ごめんなさい。自分で歩けます」
「あははは。うそ。おもくないよ」
シャワーを浴びながら 慎二は朱音の身体を くまなく洗った。始めは 恥ずかしげにしていた朱音だったが、大人しくされるがままになりながら 泡を手にとっては 慎二の身体に塗りつけていった。お互いに 大事なものを 大事に扱っているやり方で。
バスタオルを巻きつけて 居間にもどって ふたりは唖然としてしまった。
食事は 途中で投げ出されたために 汚らしくなっていた。
竜巻が通り過ぎた後は かくばかりか、という体で そこいらじゅうに ふたり分の衣類が散らばっていた。
どんなに夢中でむさぼりあったかがわかる惨状だった。
身づくろいした朱音は 食器を片付けはじめた。隣に立ち 背の低い朱音を見下ろすと 慎二は 静かな幸せを感じた。初めてのセックスとは思えないほど 身体の隅々まで満足した。
視線を感じて 朱音が軽く笑いながら 慎二を見上げる。その目が「なぁに?」といっている。
ゆっくり身体をかがめると 気持ちをこめてキスした。お皿を持ったまま 朱音が優しく応える。
「また 逢おう」
「そうね」
お皿ごと 朱音を抱きしめた。
「よかった
今日 逢えて よかった」
「そうね」
駅で タクシーを拾う、という朱音と 手をつないで歩いた。そうすると これから先も こうしていられるような気分になった。
次の金曜日に スーパーで待ち合わせの約束をした。

