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ムッツリ最高
第2章 猛る瞳
あっ!

 そこには、2メートルの距離に、少年が立っていた。
 肩で大きく息をしながら、頬を上気させ、自分の股間を握りしめている。
 右手がそっと私の方に伸び始める。

 私は怯えたように彼の背中に回る。

だめだよ・・・。彼女は、僕だけのものだから、あれ以上触れることは、できない。

 彼の言葉に愛を感じ、嬉しさと安堵が広がる。でも、この少年の猛るような瞳は、私の劣情をまだ揺さぶっていた。
 こんな少年が、私の身体に欲情してくれるんだわ・・・。

 その心を見透かすように、彼が低く言った。

見るだけなら、見せてあげよう。

 どういうこと・・・私が混乱していると、かれがなおも続ける。

生徒手帳を、見せなさい。

 少年は、ふと我に帰ったように目を伏せた。

もっといやらしいこの女の姿を、見たくないのかい?

 少年がもう一度私を凝視し、彼を見る。
 そして意を決したように、左肩に欠けていたバッグから手帳を取り出した。
 彼がそれを開き、身分証明のページを捲ると、スマホで写真を撮った。

あっ

少年がたじろぐ。

大丈夫。君がこのことを黙っていれば、僕たちも誰にも言わない。君がこの女を痴漢したこともね。

うっ、

 少年が俯いた時、彼は胸元のポケットからペンを出し、サラサラとメモをした。私たちのホテルの名前と部屋番号だった。

ここに、明日の13時に来なさい。
誰にも言わず、一人で。
そうしたら、堪らないものをみせてやるよ。
どうする?

 少年は、息を呑むように頷いた。

 それを見て、彼は満足そうに頷くと、私の手を引いて、私に微笑みかけてくれた。

さあ、行こう。

 私は彼に手を引かれ、その物陰から出る。トイレの角を曲がるところで振り返ると、少年は、まだ私を猛るような目で追い続けていた。
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