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水上都市の商人
第1章 私には秘密がある

翌朝、エトワールは鏡の前で自分の姿を眺めていた。昨夜の出来事を思い出してため息をつく。まさか本当に頭がツルッとなってしまうとは思わなかった。ショックだ。これではもう二度と学校に行けないではないか。今日は土曜日だからよかったものの、月曜日はどうしよう。ああ、憂鬱だ。しかし、エトワールはすぐに気を取り直して自室を出た。朝食を食べようと思ったのだ。階段を降りていくと父さんと母さんの話し声が聞こえてきた。
「エトワールはどこに行ったんだ?」
「あの子ならさっき出ていったわよ」
エトワールは急いでリビングに飛び込んだ。
「おはようございます! お義父さま、お義母さま! 朝ごはんできてますよ!」
笑顔で挨拶をする。「ん? お前は誰だ?」
「誰って……ひどいですね! 私はあなたの娘ではありませんか! ほら、この通り髪の毛も短くなって男らしくなったんですよ」
「……」
二人は顔を見合わせた。
「なぁ、お前の名前はなんだ?」
「名前? 私はエトワール・プランセスですよ」
「プランセス……だと……? まさか……」
その時、玄関のチャイムが鳴る。「はーい」と返事をして母親が応対した。
「どちら様でしょうか?」
「私だよ。プランセス」
「あら、あなた! わざわざ来てくれたのね」
扉の向こうにいたのは長身の男だった。年齢は四十代後半といったところか。髪は銀色で、目は青色をしていた。
「えっと……あなたは?」
「君の父だ。覚えていないかい?」
「そんなことどうでもいい。わたし、頭がつるつるで、恥ずかしくてもう学校に行きたくない!」
エトワールは泣きながら訴えた。
「……」
「ねぇ、どうしてこんなことになったの!?」
「……」
「答えてください!」
「……」
「何か言ったらどうですか?」
「……」
「おい、いい加減にしろよ!」
「箱舟のせいよ。あいつったらわたしにスタンガンを当てて気絶させて、寝ている間にバリカンで私の頭を…。許せない!あいつを殺してわたしも死ぬ」
「落ち着きなさい。エトワール」
「嫌です。わたしは死にます。もう決めたのです」
「いいから、とにかく落ち着いて話を聞きなさい」
「うるさい。死んじゃえ」
エトワールは椅子を持ち上げると箱舟の頭に思いっきり振り下ろした。鈍い音が響いた。床の上に血が流れ落ちる。
「ぐふっ」
「やった」
「エトワール、なんてことを!」
「エトワールはどこに行ったんだ?」
「あの子ならさっき出ていったわよ」
エトワールは急いでリビングに飛び込んだ。
「おはようございます! お義父さま、お義母さま! 朝ごはんできてますよ!」
笑顔で挨拶をする。「ん? お前は誰だ?」
「誰って……ひどいですね! 私はあなたの娘ではありませんか! ほら、この通り髪の毛も短くなって男らしくなったんですよ」
「……」
二人は顔を見合わせた。
「なぁ、お前の名前はなんだ?」
「名前? 私はエトワール・プランセスですよ」
「プランセス……だと……? まさか……」
その時、玄関のチャイムが鳴る。「はーい」と返事をして母親が応対した。
「どちら様でしょうか?」
「私だよ。プランセス」
「あら、あなた! わざわざ来てくれたのね」
扉の向こうにいたのは長身の男だった。年齢は四十代後半といったところか。髪は銀色で、目は青色をしていた。
「えっと……あなたは?」
「君の父だ。覚えていないかい?」
「そんなことどうでもいい。わたし、頭がつるつるで、恥ずかしくてもう学校に行きたくない!」
エトワールは泣きながら訴えた。
「……」
「ねぇ、どうしてこんなことになったの!?」
「……」
「答えてください!」
「……」
「何か言ったらどうですか?」
「……」
「おい、いい加減にしろよ!」
「箱舟のせいよ。あいつったらわたしにスタンガンを当てて気絶させて、寝ている間にバリカンで私の頭を…。許せない!あいつを殺してわたしも死ぬ」
「落ち着きなさい。エトワール」
「嫌です。わたしは死にます。もう決めたのです」
「いいから、とにかく落ち着いて話を聞きなさい」
「うるさい。死んじゃえ」
エトワールは椅子を持ち上げると箱舟の頭に思いっきり振り下ろした。鈍い音が響いた。床の上に血が流れ落ちる。
「ぐふっ」
「やった」
「エトワール、なんてことを!」

