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午前十時を過ぎたなら(恵の選択)~義父との秘密が始まる
第2章 いらだち
「本当に・・・イヤ」

余りに頑固な妻に対して、それ以上は強制せずに眠りにつく武であった。
夫の寝息が聞こえてくると、涙で濡れた顔を上げて恵は呟いた。

「イヤ、なん・・・だから」

でも、その声に気付かない夫に寂しさを覚える恵であった。
もう、夫にとって自分は無理にまで奪う程の対象では無いのであろうか。

どうして、もっと愛していると言ってくれないのか。
矛盾した想いが頭の中を駆け巡る。

恵は重い気持を引きずりながら眠りにつくのであった。
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