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レスさんとシンママちゃん
第1章 お店のスタッフ
このままイライラしたままでアパートに帰るのも癪だった



実家暮らしのアキさんもイラついてる



ぼくらはコンビニを出た


アキさんのクルマは少しばかりコンビニの駐車場に停めさせてもらい、軽くドライブしながら話しをする



「ここ曲がったらどこに出るの?」とかを何回か繰り返す



すると県境の海岸線の道を走っていた



明るかったら景色がいいらしい


夜はなんにも見えない




くねくねした海岸線沿いの道を走る



岬のほうにはカーブのたびに小さな駐車スペースが何箇所もある




ぼくらはそこにクルマを停めて、窓を開ける



たぶんクルマの前は崖で、下には波が立っているんだろう



明かりもないので真っ暗



ただ打ち付ける波の音だけが聞こえる



よく考えたらアキさんと二人で出掛けるのはこれが初めてかもしれない




いつも何人かでご飯に行ってたし、送り迎えで二人になるときもあるけど、それはお店までの往復10分程度のことだ




こんなに夜のドライブでふたりっきりはさすがに無かった



「たまにはこんなのもいいわね〜」


「そうだね、明るいときに来たかったよ」


「若いバイトちゃんのほうが良かったんじゃない?ごめんね、おばちゃんで」



「おばちゃんとおじさんで割り切ってていいんじゃない? 気楽だし」



お互い独身同士だし、たまにはね



でもへんなことはしない



アキさんはもう長いこと付き合ってる彼氏さんがいた



彼氏さんの怠け癖の話しが始まって、またアキさんは怒り出した



「……そ、そろそろ戻ろうか」



ぼくは話題から逃げ出すように車を出した


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