この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ムッツリ最高〜隆の想い〜
第19章 彼女しか昂められない
名古屋では、駅に併設された高層ホテルの部屋だった。
人の目を気にするクミは、エグゼクティブスイートのツインを予約していた。
夕方から、政財界の集まったある団体の周年パーティーだった。クミはその場で新規事業の紹介と、人脈作りをしたいのだ。
今週から、このあと、東京、大阪と、こんなパーティーをまわるのだ。
こんなところにわざわざ僕まで来て、挨拶することに意味があるとは思えず、頃合いを見計らって僕は部屋に帰り、ネクタイをすぐに外し、スーツも脱いだ。
パーティーでは、一通り、ドッグショーよろしく、彼女の後ろをついて周り、誰が誰だかわからないまま頭を下げて回った後、変にハイテンションになって挨拶をして回っているクミから離れ、壁際でブッフェの軽食をつまみながら、白ワインを飲んでいた。
その時、自分の後ろにいた30代位の男の二人組が話しているのが聞こえた。
ほら、あのオバさん、〇〇建設の娘。
あー、〇〇建設、地方から出てこようとしてるんだろ?
建設会社はナワバリが厳しいからね、あの娘に、福祉事業だって食い込ませて、結局、建設物件を各地域に持ちたいだけらしいよ。
さっきあの福祉事業のコンセプト聞いたけど、あれダメだろ。世の中の妻のほとんどは、年取った旦那といかに離れるかって言ってるのに、妻が旦那の面倒見るのを混みで安くしますって。
いいんだよ、あれは、隠れ蓑なんだから。だから、マンションタイプなんだろ。福祉ダメになったら、マンションで売るんだよ。
なるほどねー。
銀行員らしい二人は、クミの事業のこともよくわかっているようだった。
僕は目立たないように、その二人から離れて、部屋に戻った。