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ムッツリ最高〜隆の想い〜
第19章 彼女しか昂められない


 名古屋では、駅に併設された高層ホテルの部屋だった。

 人の目を気にするクミは、エグゼクティブスイートのツインを予約していた。


 夕方から、政財界の集まったある団体の周年パーティーだった。クミはその場で新規事業の紹介と、人脈作りをしたいのだ。


 今週から、このあと、東京、大阪と、こんなパーティーをまわるのだ。

 こんなところにわざわざ僕まで来て、挨拶することに意味があるとは思えず、頃合いを見計らって僕は部屋に帰り、ネクタイをすぐに外し、スーツも脱いだ。


 パーティーでは、一通り、ドッグショーよろしく、彼女の後ろをついて周り、誰が誰だかわからないまま頭を下げて回った後、変にハイテンションになって挨拶をして回っているクミから離れ、壁際でブッフェの軽食をつまみながら、白ワインを飲んでいた。



 その時、自分の後ろにいた30代位の男の二人組が話しているのが聞こえた。



ほら、あのオバさん、〇〇建設の娘。



あー、〇〇建設、地方から出てこようとしてるんだろ?



建設会社はナワバリが厳しいからね、あの娘に、福祉事業だって食い込ませて、結局、建設物件を各地域に持ちたいだけらしいよ。



さっきあの福祉事業のコンセプト聞いたけど、あれダメだろ。世の中の妻のほとんどは、年取った旦那といかに離れるかって言ってるのに、妻が旦那の面倒見るのを混みで安くしますって。



いいんだよ、あれは、隠れ蓑なんだから。だから、マンションタイプなんだろ。福祉ダメになったら、マンションで売るんだよ。



なるほどねー。



 銀行員らしい二人は、クミの事業のこともよくわかっているようだった。


 僕は目立たないように、その二人から離れて、部屋に戻った。


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