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ムッツリ最高〜隆の想い〜
第29章 嵐
そこには、クミがいた。
何も言わずに僕を一瞥すると、ずかずかと家に上がり込む。
なんだよ、急にくるなんて・・・
クミは居間の入り口に置いたままの僕のキャリーケースとカメラバッグを見ていた。
その目の鋭さに、僕の心が怯む。
クミは、目線を僕に上げもせず、冷たい声で言う。
1ヶ月くらい前に、あなたが、タカクラホテルで女といるのを見たって人がいるのよ。
僕の心臓の下が掴まれるような気持ちになる。
いっそ、鈴音のことを正直に話せば、クミとは終わりにできるだろうか・・・?
でも、これまでのことを考えたら、とても大丈夫だとは思えない・・・。
僕は冷たく言う。
だから?
ホテルに女といたんでしょう!
あそこはシティホテルだ。学校関係の飲み会だってあるさ。
二人でいたから、だからなんなんだ?
僕は、腹の中に怒りを覚えている。