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コンプレックス
第2章 合コン
「やっぱ、どうしてもダメ?」

昼食時間の食堂は学生たちでごった返している。
食欲をそそるいい匂いとにぎやかな話し声が、食堂を支配していた。

昼食のBランチを食べながら、里奈が訪ねてきた。
今朝話していた合コンの話だ。
やはりどうしても人数がひとり足りないらしい。

「わたしなんて無理だって」

星良はサンドイッチを頬張り野菜ジュースで流し込んだ。

「――星良ってさ、男が嫌いなの?」

里奈が唐突に尋ねてきた。
一瞬星良は野菜ジュースを吹き出しかけたが寸前で飲み込んだ。

「ゴホ、ゴホ! ……なんだって?」

予想もしない質問にむせ返る星良を見て、里奈はカラカラと笑った。

「だってさ、星良っていままで彼氏いたことないじゃん? 
もしかしてレズ? あ、わたしのことが好きだとか?」

「なんでそうなるのよ!」

星良の反応を見て、里奈はまたケラケラと笑った。

「でもさあ、いままで彼氏がいない、ってのは本当のことじゃん?」

「……そりゃあ、まあ」

「星良ってさ、後輩の女子とかにはすごい人気あったじゃん。
陸上部の先輩とかにも可愛がられてたし」

確かに星良は女子からの人気は高かった。
ボーイッシュで身長も高かったし、
陸上部のエース的存在だったこともその要因だろう。

「でもさあ、なぜか男子とは浮いた話ひとつなかったよね」

「里奈は高校のときからモテモテだった」

「まあ、ね」

言って里奈は、へへん、と笑った。それはいかにも男好きのする笑顔だった。
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