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コンプレックス
第2章 合コン

そんなワケで、その日の夜――
N大生の仕切りで合コンが行われた。
N大生の多くは裕福な家庭に生まれているので、
彼らが予約した店はお洒落でリッチだった。
カウンターとテーブル席のほかに、いくつかの個室もあり、
星良たちはその個室のひとつに案内された。
「わあ……」
星良から思わず声が漏れる。
店内もそうだが、個室のなかに入るとそこはまるで別世界だった。
赤を基調に造られた内装は、まるでどこかの国の宮殿のようだ。
里奈から借りたワンピースを着ておいて正解だった。
里奈に言われなければ普段どおりのスポーティーな格好で来てしまうところだ。
「こんばんは」
先に個室に通されていた爽やかなジャケット姿のN大生が、
にこやかに挨拶をしてきた。
「こんばんは」
里奈も愛嬌たっぷりに挨拶を返す。
それに続くように里奈の友人たちも精一杯の笑顔をつくり挨拶をしたが、
星良だけがなんとなく気後れしてしまって
口元に笑みを浮かべるのがやっとだった。
「さあ、座って」
「はい」
促された星良たちはセッティングされたテーブルに着き、
N大生たちはその向かい側の席に着いた。
5人対5人の合コンなのだが、一度に5人の男子を目の前にして、
星良は誰の眼を見ることもできないでいた。
「それじゃあ、とりあえず乾杯!」
それぞれが注文した飲み物が運ばれてくると、
N大生の掛け声で乾杯をしたあと、ごく自然な流れで自己紹介がはじまる。
どうやらN大生たちも、里奈同様に合コン慣れしているようで、
乾杯から自己紹介への流れはごく自然なものだった。
N大生や里奈たちが次々と自己紹介してゆくなか、
星良はなかなか視線をあげられずにいる。
耳だけは一応傾けているが、どうにもこういう場は苦手で仕方がない。
やはり合コンになど参加するべきではなかった。
「――尾崎雅人です」
「………?」
どう理由をつけて帰ろうか、そんなことを漠然と考えていると
なんとなく聴き慣れた名前が耳に流れ込んできた。
「尾崎……雅人……」
N大生の仕切りで合コンが行われた。
N大生の多くは裕福な家庭に生まれているので、
彼らが予約した店はお洒落でリッチだった。
カウンターとテーブル席のほかに、いくつかの個室もあり、
星良たちはその個室のひとつに案内された。
「わあ……」
星良から思わず声が漏れる。
店内もそうだが、個室のなかに入るとそこはまるで別世界だった。
赤を基調に造られた内装は、まるでどこかの国の宮殿のようだ。
里奈から借りたワンピースを着ておいて正解だった。
里奈に言われなければ普段どおりのスポーティーな格好で来てしまうところだ。
「こんばんは」
先に個室に通されていた爽やかなジャケット姿のN大生が、
にこやかに挨拶をしてきた。
「こんばんは」
里奈も愛嬌たっぷりに挨拶を返す。
それに続くように里奈の友人たちも精一杯の笑顔をつくり挨拶をしたが、
星良だけがなんとなく気後れしてしまって
口元に笑みを浮かべるのがやっとだった。
「さあ、座って」
「はい」
促された星良たちはセッティングされたテーブルに着き、
N大生たちはその向かい側の席に着いた。
5人対5人の合コンなのだが、一度に5人の男子を目の前にして、
星良は誰の眼を見ることもできないでいた。
「それじゃあ、とりあえず乾杯!」
それぞれが注文した飲み物が運ばれてくると、
N大生の掛け声で乾杯をしたあと、ごく自然な流れで自己紹介がはじまる。
どうやらN大生たちも、里奈同様に合コン慣れしているようで、
乾杯から自己紹介への流れはごく自然なものだった。
N大生や里奈たちが次々と自己紹介してゆくなか、
星良はなかなか視線をあげられずにいる。
耳だけは一応傾けているが、どうにもこういう場は苦手で仕方がない。
やはり合コンになど参加するべきではなかった。
「――尾崎雅人です」
「………?」
どう理由をつけて帰ろうか、そんなことを漠然と考えていると
なんとなく聴き慣れた名前が耳に流れ込んできた。
「尾崎……雅人……」

