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マッスルとマシュマロ
第13章 縋る女



 夏菜子の解説を聞き、華のことを考えながら、ぼんやりとバス停に向かって歩いていると、急に腕を掴まれる。


 暗くなりかけたキャンパスには、もう人影はなく、街灯が灯り始めた。



「宏樹さん・・・」


 宏樹は、しまったな、と思う。
 それは、以前、夏菜子の研究室にいた、森山奈保だった。




「矢野教授のところにいらしたの?」



 
 奈保は、大きく胸元の開いた身体にピッタリと沿うようなワンピースを着ている。
 
 腕はあまりに細く、喉元も筋張ったようで、胸元もその肋骨まで見えそうなほど痩せている。


 それなのに、乳房だけは、なぜか異様に張り出している。



「ああ・・そうです・・・」


 奈保は、一年半前までは、もっとふっくらとした、おとなしそうな学生だった。あの頃、大学の修士一年だったはずだ。

 ふっくらとした頬で、いわゆる男好きのする顔をして、清楚な服を着た、豊かな乳房を持った女。






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