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マッスルとマシュマロ
第17章 自宅
「林田先生・・・着きましたよ・・・」
華が声をかけると、助手席で宏樹が朦朧と目を覚ました。
その姿に、やはり、放ってはおけない、という気持ちが湧き上がり、華は運転席を降りると、助手席のドアを開ける。
ぼんやりと、熱のある顔つきで助手席を降りる宏樹を導くように、地下のエレベーターに一緒に乗り込んだ。
宏樹は自分でも、こんなに朦朧とするのは久しぶりで、どうしていいかわからなくなっていた。
喉の奥がじんじんとして、身体は熱でふわふわとして、今何をすべきか判断がつかない。
「何階ですか」
華に言われ、よくわからないまま、自分の部屋番号を答えていた。
宏樹を支えようとするのか、華は、自分よりも大きな宏樹の手を取り、その腕を自分の肩に回して、エレベーターの目的の階に着くと歩き始める。
柔らかい肩の感触に驚きながら、その肌の冷たさが心地良い。
朦朧とした身体を、華に預けすぎないように気をつけながら、やっと自分の部屋に辿り着く。
もう、ここで・・・。
そう言いたいのに、言葉が出ない。
華は宏樹の荷物から鍵を出すと、それを開け、宏樹と一緒に家に入る。