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マッスルとマシュマロ
第18章 幼い記憶
宏樹が小さな頃、熱を出すといつも看病してくれるのは、家政婦の花村琴美だった。
扁桃腺が腫れ、息苦しく、熱でぐったりした宏樹に、まるで今日の華のように甲斐甲斐しく世話をしてくれていた。
おでこに当てられる冷たくて気持ちの良い手、優しい声。普段から琴美には甘えていたけれど、病気の時はなおさらだった。
そしてこんなふうに、添い寝をしてもらうのが好きだった。
添い寝をしながら、あのふくよかな胸元に身を寄せ、二の腕をを触るのだ。
最後にそうしてもらったのは、中学2年の時だった。
身体は大きくなり始めていたけれど、まだまだ子どものような気持ちで琴美に甘えていた。
そして熱を出して琴美に添い寝をしてもらった・・・その時は、思わず乳房を弄ったのだったな・・・。
熱で朦朧とした意識の中で、腕の中にいるのがその時の琴美のような気がしてきていた。
宏樹はまだ、声変わりもしていない頃に戻っていた。
心から甘えた気持ち・・・久しぶりだった。
ああ、自分は花村さんにならこんなに甘えられるんだった・・・。
宏樹は琴美とおやつを食べながら笑い合ったこと、キッチンでつまみ食いにくる宏樹に、嗜めるようなことを言いながらも嬉しそうに味見を差し出したこと、お風呂で流行りの戦隊ものの歌を一緒に歌ったこと・・・。