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マッスルとマシュマロ
第26章 違う日常
日曜の夜、22時を過ぎて正弘は帰ってきた。
その顔は、疲れたようにも、満ち足りているようにも見えた。
「おかえりなさい。」
玄関まで慌てるように出迎えに出た華を、少し眩しそうに見ながら、優しく正弘は答える。
「ただいま・・・」
正弘は、華を見て、ほっとしていた。肉欲に溺れる数日が、あまりに背徳的で、あまりに強烈で、その落ちたような感覚を、華の柔らかな姿が、日常に引き戻してくれる気がする。
でも、その、まっすぐに自分を見つめる瞳には、後ろめたさで見つめ返すことはできなかった。
手にしたお土産を渡しながら、言い訳をする。
「すまない、ラボがトラブルで・・・」
「そう、大変だったのね。」
2人でリビングに入りながら、正弘はまだ頭の中に溢れるような竜馬の面影を追い払うように、華に優しく話しかける。
「今回のお土産は、行列ができる店のお焼きだよ。カボチャとか、あんことか、華の好きそうな甘いものもある。」
それは、美久が、買ってきてくれていたものだった。美久が、秘書として、竜馬のお土産を選んで買ってきてくれたものを一箱もらったのだ。美久が買い物に行っている間、正弘は一人で竜馬を独占できるのが嬉しくて、その胸に縋るように抱かれていたのだ・・・。