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マッスルとマシュマロ
第28章 初めての口づけ


少し垂れ目の切長の目。その目元の皺。
ふっくらした頬と、ぽってりとした唇。



 宏樹は、その、ぽってりとした唇に自分の唇を合わせる。




ああ・・・唇まで、柔らかくて・・・ふわふわだ・・・




 宏樹は痺れるように、その唇を、柔らかく自分の唇で噛んだ。

 下唇を数度、柔らかく噛むと、華のぽってりした唇が開く。




 宏樹は思わず、舌をそっとその唇に入れ、唇の感触を味わった。


 柔らかい唇の感触が、宏樹の身体中を駆け巡るようだ。




 華も、こんな優しいキスは初めてだった。


 一人目に付き合った人は、おざなりな口づけもそこそこに、挿入ばかりしたがった。二人目に付き合った人は、歯が当たってしまうような稚拙なキスしかしてくれなかった。そして、夫とは、華が自分から目を閉じて求めた2回だけ、軽く触れるだけのキスしかしたことがなかった・・・・。



こんなに唇を触れ合わせることが気持ちいいなんて・・・。



 それは宏樹も同じだったかもしれない。これまで幾度となく女と唇を合わせたことのある宏樹だったが、自分の甘えを封印してから、心から誰かと心を通わせた口づけはしたことはなかった。それは宏樹にとって、これまでは、生殖行為の一部でしかなかったのだ。



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