この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
マッスルとマシュマロ
第28章 初めての口づけ
少し垂れ目の切長の目。その目元の皺。
ふっくらした頬と、ぽってりとした唇。
宏樹は、その、ぽってりとした唇に自分の唇を合わせる。
ああ・・・唇まで、柔らかくて・・・ふわふわだ・・・
宏樹は痺れるように、その唇を、柔らかく自分の唇で噛んだ。
下唇を数度、柔らかく噛むと、華のぽってりした唇が開く。
宏樹は思わず、舌をそっとその唇に入れ、唇の感触を味わった。
柔らかい唇の感触が、宏樹の身体中を駆け巡るようだ。
華も、こんな優しいキスは初めてだった。
一人目に付き合った人は、おざなりな口づけもそこそこに、挿入ばかりしたがった。二人目に付き合った人は、歯が当たってしまうような稚拙なキスしかしてくれなかった。そして、夫とは、華が自分から目を閉じて求めた2回だけ、軽く触れるだけのキスしかしたことがなかった・・・・。
こんなに唇を触れ合わせることが気持ちいいなんて・・・。
それは宏樹も同じだったかもしれない。これまで幾度となく女と唇を合わせたことのある宏樹だったが、自分の甘えを封印してから、心から誰かと心を通わせた口づけはしたことはなかった。それは宏樹にとって、これまでは、生殖行為の一部でしかなかったのだ。