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マッスルとマシュマロ
第32章 湖畔
紅葉のはじまった高原の駐車場に着いたのは、朝10時だった。
この後、湖の周りのトレッキングコースを4時間ほど歩く予定だった。
来る時の車の中で、山登りなどはあまり自信がない、という華に久美が今回の旅の目的とともに、そのコースはさほどきつくないのだ、と教えてくれた。
「実はね、今回、新規事業のリサーチもかねてるのよ。30代から40代の、お金持ってるミドルの女性を狙ってるの。それも平井さんのような、山登りなんてーっていうような女の人よ。」
「そういう女性は、こんなところ、あんまり来ないんじゃない?って僕は聞いたんだよねー。」
理人が後部座席で、久美の横に座り、既に久美の腰に手を回している。
久美はそれを気にする様子もなく、ゆったりと座ったまま答えた。
「だから、このコースなのよね。高低差ないけど、湖の周りの湿地が、いろんな花が咲いたり、景色を見られたり。その上、近くに美味しいイタリアンも温泉もあるのよ。」
華は助手席から後ろを振り返りながら、久美たちに言う。
「いいですね、お花とか、景色とか、温泉や、美味しいもの。女性は好きですものね。」
そうして、助手席から後部座席に身を捩るように振り返る華を、宏樹は運転席から意識してしまう。
宏樹の方に突き出される胸。その胸の真ん中のシートベルトが引っ張られて、より、そのたわわさを主張してくる。