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マッスルとマシュマロ
第32章 湖畔
そんな話をしながら、行きの車はなんだか学生がはしゃぐように過ごして、この駐車場に着いたのだ。
「さあ、行きますか。」
それぞれ、トレッキングシューズや帽子の装備を整えて、ビジターセンター側から出発する。
初めは緩やかな林間の小道を少し登っていく。紅葉が始まっていて、林内の緑から、陽が当たる場所の色づいた紅色のカエデまで、美しいグラデーションだった。
久美の貸コテージの事業が軌道に乗ったら、そこでトレッキングのコーチとコテージの管理人をしながらのんびり暮らす、と、理人は張り切って一番先頭を歩いている。久美と華が並んで、所々で写真を撮りながら、風景を楽しんでいるようだ。
宏樹はそんな華を後ろから見ながら、わざとゆっくり歩く。
隣に歩いてたら、腰に手を回したくなるし、あのむちむちの身体を後ろから見るのもいい。
本当なら、この間の火曜日と木曜日は華とのトレーニングだったのだが、このトレッキングに向けてウエアや装備が必要だから、と、火曜日はトレイルランもする理人がついてきてショップへ行った。そして、木曜日は、最近登山にハマっているという久美も一緒に、頼んでおいた装備やウェアの試着の確認をしたのだ。