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マッスルとマシュマロ
第41章 欲望に呑まれる


 華はいてもたってもいられず、駅から電車に乗った。


 宏樹の家に行くよりも、ジムまで行ってみよう、と思っていた。



宏樹さん、びっくりしてくれるかしら?



 何よりも、一刻も早く、宏樹の身体に触れたい・・・。もしも、ジムに誰もいないのなら、あのソファに押し倒して欲しい・・・。



 そんなはしたない思いが華の中に渦巻いていた。

 これまで、大事に育てられ、早くに結婚して、社会にもあまりまみえることのなかった華は、むき出しの欲望に触れることはほぼなかった。



 でも、当たり前に自分の体の中に育つ性欲は、正弘の毎朝行う、愛撫をしながら、オーガズムも与えながら、本当のSEXは与えないという異常さの中で、黒く大きなトグロを巻く蛇のように育っていたのだった。


 今、その湧き上がる欲望に突き動かされるように、華はいつもはしないような大胆さで、自分から求める男のところに少しでも早く辿り着こうとしていた。





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