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マッスルとマシュマロ
第44章 嫉妬
ずっと遠目からみていても、気になっていた子だった。
思わず、もしも、なにか思い悩んでいるのなら、力になると声をかけた。
しかし、その子は逃げるようにその場を立ち去り、次の日からは工場に来なくなった。
「その一月後、偶然、新宿で会って」
美しく、女性の容姿を纏っていた。高級なゲイバーで、正弘の横に座り、無言で水割りを辿々しく、しかし、綺麗な所作で作ってくれた。
「これまでの会社での評判や仕事ぶりも聞いていたし、その店での気の使い方からも、仕事ができることはわかったから・・・秘書に雇ったんだよ。」
名前も変えて、前歴を知るものは、正弘だけだった。
しっかりと働いてくれるその姿に安堵していたけれど、その秘書は、正弘に思いを寄せ続けていたのだ。
ある学会で地方に旅した際に、その秘書から、縋り付くように告白され、身体を求められ、正弘はその欲望に屈してしまった。
「いつから・・・?」
竜馬がまた、正弘の胸をいじり回しながら聞いてくる。
言われて、正弘は改めて、気付く。
もう、その秘書、瑞原悠とそういう関係になって、10年以上が経とうとしていることに。
自分は、大人面をして、自分のような既婚者ではない誰かを見つけろ、などと言いながら、それでもいいと、縋ってくる悠を受け入れ、その竿同士を絡め、自分の気持ちのいい部分に受け入れ、肉欲を満たしてきたのだ。
青年のような綺麗な身体と真っ直ぐな心は、正弘の体の奥を欲情させ、その長い竿は、正弘の心地よい場所をくすぐるように、掬い取るように快感に導く。
悠の身体を思い出していた正弘の耳を、竜馬が強く噛んだ。
「あっ・・・」
痛みと、その奥にある快感で、正弘は身を捩る。