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マッスルとマシュマロ
第46章 束縛


(長野のラボでトラブルが発生したので、今日からそちらに泊まり込みます。
おそらく週末までかかると思います。)



 正弘は、昼過ぎに華にメッセージを送った。


 その日、初めて嘘をつき、仕事を休んだ正弘は、朝から竜馬に何度もイカされ、気を失うように微睡んで目覚めた。



 隣を見ると、竜馬は目をぼんやりと開いたまま、まだ天井を見ていた。

 その姿を見て、正弘は、竜馬にそっと提案した。




「竜馬さん、しばらく、長野に、一緒に行く?」



 竜馬は、ゆっくりと視線を正弘に向けながら、小さな掠れ声で聞き返した。



「長野?」


「うん、しばらく、あのコテージで、ゆっくりするといいよ。」



こんな目つきのまま、竜馬を、その地獄のような場所に帰せない・・・正弘はそう思っていた。



「お前も、一緒に、行ってくれる・・・のか?」


「うん・・・僕は、今週、どうせ水曜日から金曜日まで行く予定だったから・・・。」


 竜馬が正弘を抱きしめて、深いため息をついた時、少なくとも今週は、竜馬のそばにいよう、と正弘は決めていたのだ。





 正弘の提案に、やっと少し安心したのか、竜馬が寝息を立て始める。

 正弘は、眠った竜馬を起こさないように。そっとシャワーを浴び終えると、華に、今週はラボにずっと行っている、と送っていたのだった。

 そして、PCを開き、メールを見て、急ぎの案件を処理する。



 集中して作業していたせいか、ふと気がつくと、竜馬が顔をこちらに向け、正弘を見ていた。

 竜馬は、もう、10分以上、そうして正弘を見つめていたのだった。




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