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マッスルとマシュマロ
第47章 心を柔らかくするもの
そして、何故か、ぽつりぽつりと、これまでの自分のことを話していた。
父の不在。母に明かされた、自分の出生のこと。その時の母の言葉に反感を持った自分。
「だから・・・自分は、恋とか愛とか、そんな感情はわからないと・・・。」
夏菜子は、柔らかく微笑む。
「恋、という感情も、人の成長、成熟には欠かせないのよ。
みんな、思春期にそれを経ることが多いのは、そこでそれを経て心身ともに大人になっていくための通過点なのよ。
宏樹さんにも、遅ればせながらそれがやってきて、心も大人になっていくのね。」
宏樹は、その夏菜子の言葉を聞きながら、そろそろ父への反感も乗り越えて、父の存在を認める時なのかもしれない、と思い始めていた。