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海に映る月の道 〜last tango in Paris〜
第4章 Valet & Earl 〜従者と伯爵〜
はっと振り返る先に居たのは、ウィスキーグラスを片手に、にやにやと嫌らしい笑いを浮かべながら、こちらに近づいてくる一人の若者だった。
服装は上質な燕尾姿だが、どこかだらしなく崩して着ている。
狐のように釣りあがった一重の眼は如何にも小狡そうに…また好色にねっとりと輝き、狭霧を上から下までじろじろと眺め回していた。

…その顔に見覚えはあった。
かつて狭霧がフランス料理店の給仕のアルバイトをしていた際に、客として来店し、しつこく言い寄って来た日本人だ。
確か、ソルボンヌ大学に留学中の貴族の子弟だ。
名前は聞いたが、興味はないしとにかく不愉快だったから覚えてはいない。
食事や酒に何度も誘われ、やんわりと断ったのに懲りずに帰り道で待ち伏せをされた。
それも強引に口説き、連れて行こうとされたので、さすがに腹が立って冷たく突き放した。

すると男は、吐き捨てるように捨て台詞を吐いたのだ。
『ちょっとツラが良いからってお高く止まりやがって。
山科の息子を色仕掛けで騙くらかした癖に。
二度と日本人コミュニティに出入り出来ないようにしてやる。
覚えておけ』

その時の忌々しげな表情が、今の顔に漸く重なった。





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