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第1章 彼氏とのキスを見られた

「もう、何？彼氏に決まってるじゃん！」

私はお父さんの背中を叩いた。

するとお父さんは、私の腕を掴んだ。

「もう一度、聞く。俺と彼氏、どっちに惚れてるんだ。」

真剣な目。

もう私、嘘をつけない。

「……お父さん。」

その瞬間、お父さんの唇が私の唇と重なった。

びっくりして、私は目を閉じるのも忘れた。

お父さんは、唇を放すと立ち上がった。

「お父さん！」

「謝らない。」

「えっ？」

「キスした事、謝らない。」

そう言ってお父さんは、部屋を出て行こうとした。

「愛実。」

「な、何？」

「ファーストキス。他の男に奪わせて、ごめんな。」

お父さんはその瞬間、優しく微笑んでいた。