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天然少女の夏休み
第1章 天然少女
 日光が全く当たらない社の下はひんやりとして意外なほど快適だった。潜り込む動物の気持ちがとてもよく分かる。

 通り慣れているのだろう。
 ナユカは四つん這いでみるみるうちに先へと進んで行く。スカートが完全に太腿を隠すくらい長くて、残念ながらパンツを拝むことはできなかった。

 先にナユカが這い出し、だいぶ遅れて僕も社の下から這い出した。

 ぽっかりと僅かに開いた、木々に囲まれた空間。神社のちょうど真裏に当たる場所。

 横からではがさ藪が邪魔で裏に回るに大変な苦労をするが、ナルホド下を通ればこうもあっさりとこれるらしい。

 そこは子供の頃に僕が友人たちと秘密基地にしていた場所で、隙間から内部が見えてしまう社の内部と違い、こちらは完全に外界からの視界が断ち切られる。

 故意に確認しようとでも思わない限り、絶対に誰にも見つかることはない。

 欲情に煮えたぎった僕をこんな場所に連れ込むとは、無防備を通り越してワザと襲わせようとしているんじゃないかとありもしない妄想を抱いてしまうくらい危機感のない娘である。

 胸中でほくそ笑む僕の内心を知ってか知らずか、ナユカは這い出してきたばかりの縁側の前にしゃがみこんでいた。

 別にアリジゴクがあるからと言われただけでついてこいとは言われなかったものの、あくまで他人にはあまり関心がないらしい。

「なにしてるの?」

 毒牙を隠しごく自然に背後からナユカの手元を覗き込むと、そこには煉獄と呼ぶに相応しき阿鼻叫喚の地獄絵図が広がっていた。

 
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