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天然少女の夏休み
第1章 天然少女
 ナユカの視線の先、縁側の支柱の周囲には、不自然にくぼんだ砂丘のような穴がたくさんできていだ。ナユカの言うとおり、確かにアリジゴクの巣がたくさんあった。なにせ滅多にヒトの立ち入らない場所だ。彼らにとってこれ以上にないくらい繁栄に適した場所なのだろう。

 問題はそのナユカである。
 彼女の手には手頃な棒切れが握られていた。

 てっきりアリジゴクの巣を破壊するのかと思いきやそうではないらしい。
 棒切れの行き先は手の届く範囲にいるアリである。
 近くに巣があるのだろう、見渡せばそこら中にアリの姿が見て取れた。

 その眼前に棒を差し出し、何も知らないアリが枝先に登ってくるのをジッと待つ。

 登ってきたら、その枝先をすかさずアリジゴクの巣の密集地帯まで持ってきて、まるでタバコの灰を落とすかのように枝を弾く。

 この時、ナユカはあえて巣から外れた場所に落としているように思えた。
 急な出来事に慌てふためいたアリはそこが四方八方を地獄に囲まれた危険地帯であることなど知る由もなく勢いよく走り出し、ほぼ確実にどれかしらの巣へと飲み込まれていく。
 ナユカは、その様子をただじっと眺めていた。
 アリが完全に飲み込まれたらまた次のアリを――延々と、その繰り返し。

 その様子を僕は後ろからドン引きして眺めていた。たしかに僕だってアリジゴクにアリを突き落としたことがないと言えば嘘になるが、ここまで念入りに楽しむ様な真似をした覚えはない。

 あれだけガチガチに昂ぶっていた僕のボルケーノはすっかり勢いを失くし、射精したのではないかと思うほどのガマン汁でパンツのなかをグショグショに塗らしていた。 
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