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天然少女の夏休み
第1章 天然少女
 そうしてナユカの身体の動きに合わせて腕を押し上げ胸の感触を堪能しているうちに、手の平で触りたいという欲求が火山灰のように降り積もった。

 たぶん、この瞬間が僕の人生で一番緊張し勇気を振り絞ったときだと思う。

 腕をクロスさせ少女を抱きすくめていた両手をスルスルと戻し、手のひらが胸の真正面にきたところで止めた。

 触れるか触れないかの距離。布には触れているが胸にはまだ完全に当たっていないのに、手のひらにまでナユカの体温が届いてくる。

 逡巡した挙句、結局欲望には勝てず、ゆっくりと、小さく膨らんだふたつの丘に手のひらを押し当てた。

 指先から身体に電流が掛抜ける。

 想像していたのとは違う、柔らかいというよりも卑わいな感触が手のひらいっぱいに広がる。

 このときナユカの首筋に顔を埋めていたから彼女がどういう反応をしたのかは定かでない。
 ただ、ナユカの動きがピタリと止まったことだけは身体越しにハッキリと伝わってきた。

 胸に触れたまま、しばしの沈黙。
 ナユカは何も言わなかった。

 沈黙に耐えきれなくなり、ナユカに頭を埋めたまま僕から口を開く。

「ごめんナユちゃん。おっばい触ってもいい?」

 なんと情けない話だろう。
 大学生の男のが遥かに年下である女の子に胸に触れることを懇願したのだ。

 しばしの沈黙の後、

「もう触ってるでしょー」

 まるで自分より年下の子供を諌めるような口調でナユカが呟いた。

 僕のタガが完全に外れた。
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