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狂愛の巣窟 〜crossing of love〜
第10章 【狂愛の巣窟〜ラスト・シーン〜】





髪を撫でて額にキスする。
初めて別々に寝たかも知れません。
同じひとつ屋根の下に居るのに。
こんなに寂しいなんて。
どの面下げて言ってるんだって思われるでしょうけど、亨さんに相手にされないことがこれほど虚無感に苛まれるとは。




私の身勝手極まりない感情だけれど。




ごめんなさい、亨さん。
触れてもらえないだけで、私、どうしたらいいのかわからない。
もう疲れましたか…?
興味がなくなった…?
なかなか子供が出来ないから…?
誰とでも寝るから…?
手垢だらけの私はもう、用済みですか…?




なんて、答えることのない寝顔に聞いてみても仕方ないよね。
今更だもの。
今更………やめれないの。
病気だから。
もう直らない。
もしもいつか、捨てられるのなら。
二度と会えない場所に行くから。
あなたを連れていけない場所にひっそり身を沈める覚悟で居るわね。




自然と涙が溢れてきました。
自分勝手な涙。
手を握って頬擦りして。
そのまま朝を迎える。
いつの間にか眠ってしまいました。




「十和子…?」の声に目が覚める。
優しい笑顔に安堵して抱き着いた。
グイと起こされる。
目を逸らして「お風呂入ってないから」と頭をポンポンされてシャワーを浴びに行きました。
何だか心がザワつきます。
いつもの亨さんじゃない。




朝食を済ませると早々と会社へ行く。
急いでいても行ってきますのキスは与えてもらえたけど。
優しい笑顔の裏までは読めない。
その夜も早く帰ってくることはなかった。
終電ギリギリの時間帯。
そっとベッドに入ってきて背中を向けて眠る私に髪を撫で、おやすみと呟いて離れて寝た。




初めての経験に戸惑ってばかり。
どうしたらいいのか、どうするべきなのかわからなくなる。
いつもと違うだけで怯んじゃう。
怖くなる。
いつ捨てられても良いと高を括っていたのに、いざその局面にぶち当たると右も左もわからなくなって静かに泣いた。




泣いて済むことじゃないのに。
一番愛する人に指一本触れてもらえないことが最大の罰なのね。
こうして常日頃、亨さんのことばかり考える、それがあなたの与えた罰。
抱かれないと死んじゃうの、わかってても。




苦しい………








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