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ぎゅっとして。
第1章 1.待ち遠しい

―乾ききった空気に触れ、雲一つない空を見つめる。
彼に会って、かれこれ年月は経った。
心を奪われた瞬間の、あの燃えるような思いは静まったが。
ぽたりと垂らした水のように、じんわりと広がる温かさが心を覆っている。
夢なのか、現実なのか定かではないが。
初めての相手となると、弾む思いがあって当然だろう。
ぴゅーっと吹いたからっ風に、厚手のスカートがなびく。
乱反射している水面のように艶やかな、こげ茶のミディアムヘアーがふわりと舞った。
普段はつけないカチューシャを、今日は背伸びして着けた。
言わなくても努力に気づいてくれている…はず。
恋は乙女の原動力。
何度も失敗した化粧だって。何時間もかけて選んだ服装だって。
きっと、もっと、自分を、相手を。
愛するための第一歩。
―待ち合わせ時間の15分前。
細めのアンティーク調の腕時計にチラリと目を配る。
ガヤガヤと賑わう人混みの中で、彼女は一人で待っている。
暇つぶしのスマホの画面は、今までのLINEのやり取り。
見返して、ふふっと微笑む。
にやけが止まらない。きっと今の私の目は三日月なのだろう。
その光景を見た人たちが、若干の距離を置いたのは言うまでもない。
『今日は、気合を入れたのよ…!』
高ぶる鼓動。止まらない妄想。ああしたい、こうしたいとイメージが膨らむ。
これはヤバイ、と歯止めをかけようとする。
しかし、ピンクの潤滑油がそれを許さない。
―嗚呼、神様。こんな不埒な私をお許しください…。
髪型、服装から爪の先まで、ありとあらゆる気を遣った。
万が一、盛り上がってきたときの準備もバッチリ。
…や、別に、期待とかしてないけど…さ。
「はぁー、早く来ないかなぁ…。」
目の前を次々に通り過ぎる人をしり目に、ポツリとぼやいてみる。
冷える両手をこすりながら、思い人を待っていた。
彼に会って、かれこれ年月は経った。
心を奪われた瞬間の、あの燃えるような思いは静まったが。
ぽたりと垂らした水のように、じんわりと広がる温かさが心を覆っている。
夢なのか、現実なのか定かではないが。
初めての相手となると、弾む思いがあって当然だろう。
ぴゅーっと吹いたからっ風に、厚手のスカートがなびく。
乱反射している水面のように艶やかな、こげ茶のミディアムヘアーがふわりと舞った。
普段はつけないカチューシャを、今日は背伸びして着けた。
言わなくても努力に気づいてくれている…はず。
恋は乙女の原動力。
何度も失敗した化粧だって。何時間もかけて選んだ服装だって。
きっと、もっと、自分を、相手を。
愛するための第一歩。
―待ち合わせ時間の15分前。
細めのアンティーク調の腕時計にチラリと目を配る。
ガヤガヤと賑わう人混みの中で、彼女は一人で待っている。
暇つぶしのスマホの画面は、今までのLINEのやり取り。
見返して、ふふっと微笑む。
にやけが止まらない。きっと今の私の目は三日月なのだろう。
その光景を見た人たちが、若干の距離を置いたのは言うまでもない。
『今日は、気合を入れたのよ…!』
高ぶる鼓動。止まらない妄想。ああしたい、こうしたいとイメージが膨らむ。
これはヤバイ、と歯止めをかけようとする。
しかし、ピンクの潤滑油がそれを許さない。
―嗚呼、神様。こんな不埒な私をお許しください…。
髪型、服装から爪の先まで、ありとあらゆる気を遣った。
万が一、盛り上がってきたときの準備もバッチリ。
…や、別に、期待とかしてないけど…さ。
「はぁー、早く来ないかなぁ…。」
目の前を次々に通り過ぎる人をしり目に、ポツリとぼやいてみる。
冷える両手をこすりながら、思い人を待っていた。

