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北の軍服を着た天使
第3章 Episode 3
どんなに強がっていても、変わっていても、恐怖というのは後から現実味を増して襲ってくるものだ。
昨夜、当たり前っちゃ当たり前だけど、眠れなかった私はマトモに出社できる様な気分では無かった。普段は元気な私が、生理を理由に休んだのだから社長も驚いていることだろう。
……何だかんだ仕事が好きな事も、ズルをして休んだからと言って見舞いに来てくれるほど友達が居ない事も私のほとんどを知っている社長だから余計だろう。
その証拠に今日も朝から「大丈夫か?必要な物があれば言えよ」といったラインが届いていた。
数年前に流行ったコロナでもあるまいし、必要な物があれば例え身内に不幸が起ころうが生理だろうが買いに出る事くらいは可能だろう。とツッコミを入れたくなる。
テーブルの上に置いてある、ほかほか帝の空になったお弁当箱をスーパーの袋にまとめてから、コンビニで買っておいたカフェインレス・カフェラテにストローを刺した。
この甘い味覚が、ほんの少しだけ私に冷静さを与えてくれる。
「スパイ、か。」
あれから、北朝鮮内の組織図を調べては、グーグルブックで北朝鮮にまつわる本を読み漁り、それなりに自分の中で❝朝鮮民主主義人民共和国❞について知識を深めたつもりではいる。
だけど、どう足掻いても彼らがスパイだと云う事実は消えそうになかった。