この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
北の軍服を着た天使
第3章 Episode 3
どうやら北朝鮮にはトップに当たる3つの組織があるらしい。
政治を担う【朝鮮労働党】
軍事を担う【国防委員会】
党が決めた事を忠実に実行する国会的な部分を担う【最高人民会議】
───そして、この3つ全てのトップに立つのが私達日本人なら誰もが知っている❝キム・ジョンウン❞だ。
つまり組織図的には日本に近い三権分立の様な形になるけれど、トップが一緒なので実質的には、どこからどうみてもただの独裁国家でしかない。
そして──調べたところ、私が❝彼らの所属❞であると踏んでいる❝対外経済委員会❞は❝1号❞の直の命令により朝鮮労働党に新設された対外経済相の活動を担う部署だった。
つまり、あそこに居る二人は北朝鮮内でかなりのエリートである事は紛れも無い事実だし、それに加えて北朝鮮のお金を握っているといっても過言では無いだろう。
それほど、北朝鮮内部にとって外貨を稼ぐポジションというのは、最高指導者に直接的に繋がる大事な血管なのだ。
「……」
796ナンバーの車に運転手を付けて乗車していた時点でキム・テヒョンと云う男は北朝鮮内で権力を持つ者である事は間違いない。
それは、彼と日本で再開する前から、ふとたまに彼を思い出す度にそんな予想をしていた。
それならば、なおさらと言えば良いだろうか。
そんなにも重役のボジションを任されている二人が、のこのこと日本に入国出来たのはきっと裏があるに違いない。
そう思い、中国人の友達に連絡を取り❝ウーファ株式会社❞について調べてもらった私は、昨夜の夜中1時頃、そこで衝撃的な事実を目の当たりにしたのだ。