この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
北の軍服を着た天使
第3章 Episode 3
昨日の友達からの情報で、全てを鮮明に…そして冷静に見れた。と言った方が良いだろう。
多分、ウーファ株式会社が彼らの❝外貨を稼ぐ本部❞なのだ。
それをたった二人に任せられるほど彼らが地位の高い人達ならば、中国国内の役人にもそれなりに顔が効くだろう。
第一、北朝鮮と中国が繋がっているのは日本だけでなく世界の常識なんだから。
共和国内の権力者のバックアップを得て中国国内に仲間を造り、偽造パスポートか何かで日本にビジネスビザを申請した事までは読み解く事が出来た。
多分、日本でも❝同志❞と呼ばれる彼達を支援した人達が居るはずだ。
じゃないと、あんな一等地にイキナリ来た中国人が例え賃貸であっても事務所を借りれるはずがない。
──だけど、ただ一つ。
パズルの真ん中のピースだけが何処にあるのかわからなかった。
そう…なぜ、あの人達が次のビジネスの場として日本を選んだのか、という答えが分からないのだ。
日本は確かにスパイ天国ではあるけれど、外国人がビジネスをし易い雰囲気では無いだろう。
ましてや、そのお金を母国に送るとなったら尚更だ。
昔は朝鮮銀行から北に送金できたみたいだけど、それも時代が変わって難しくなったと聞いた事があるし…。素人の意見として、外貨を稼ぐ場所ならば、それこそスイスやアゼルバイジャンといった北朝鮮の事を受け入れてくれて、なおかつこれからも地上がりしそうな所の方が良い気もするのに…。
独裁者の考えている事なんて、幾ら考えても分かるはず無いのに、ひたすらにそんな事ばかりを考えている昨日と今日。
だけど──そんな中でたった一つ、自分の心の中に変わりない、決して揺るがなかった気持ちがあった。
それは彼にも伝えた通り❝また会えて良かった❞という気持ちだ。