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北の軍服を着た天使
第3章 Episode 3


私が、そこまでして彼に会いたかったのか。

四年も会っていなかったのに一目見て直ぐに彼が板前店で私を呼んだ男だと認識出来たのか……。


そんなの自分でも分からない。



ただ───あの時、北朝鮮と云う国をリアルに感じていた私にとって❝自分の唯一の理解者❞だという風に映ったのかもしれない。

言葉を選んで話す必要があったあの場所で、心底から出た本心を日本語で捲し立て……その言葉を彼は、理解して共感してくれた様に思えたのだ。

あの時、北朝鮮と云う国に興味を持ち少しずつイメージが回復していく最中に……またも、嫌な北朝鮮の側面を見る事になった。そんな面を見たくなかったからこそ、私は女の子を助けた。

そして、その私の気持ちを理解してくれた人。


もしくは、例え一瞬でも❝共に共和国の未来を考えた人❞


───そんな風に、彼は映ったんだ。

それならば……悩んでいる暇など無いのかもしれない。

私は売国奴にならずともして、せっかく再開できた彼とビジネスパートナーとして付き合いをしていけば良いのだ。

彼は、中国国籍を持っている人であり、ロードスター株式会社にとって、とても素敵なお客さん。

ほぼ無理矢理な発想だと自分でもわかっているが、そう言い聞かせると少しだけ気持ちが軽くなったような気がした。






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