この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
ある冬の日の病室
第4章 別れの予感~からの……
「でもだめよ。私になんか会いに来るのは。大学でちゃんと勉強して、彼女を作りなさい。翔君なら必ずいい人が見つかるわ」
「見つかるわけないし、いい人なんかいません」
「どうして? 今はいなくてもこれからきっと見つかるわよ」
「絶対に無理です」
「なぜそう言いきれるの?」
「……」
 言葉に詰まった。「里奈さん、あなたしかいないんです」心の中では大声で叫んでいるのに。
「翔君は背も高いし、スポーツなら何でも出来るんでしょ。そんな男の子は女の子のあこがれの的よ」
「……」
 背も高い方なのだろう。スポーツなら取りあえず何でもこなせる。でも僕は女の子にもてたことなど一度もない。
「自信を持ちなさい」
「好きです!」
 十九の僕が、四十一の里奈に告白した。
 大きな声だった。でも病室の患者は、僕の声では目が覚めない。そんな気がした。起きてもらっても構わない。
「無理」
 一刀両断の里奈の拒絶。
「どうしてですか?」
 里奈が結婚をしていて中三の子供がいても、僕は食い下がった。
「主人のことを愛しているし、翔のことも愛しているわ。もちろん翔は私の息子で君じゃない。だから君のことを一人の男として好きになることは絶対にないの。わかる?」
「……」
 僕は心の中で「はい」と返事をした。
「中三の翔がこれからどういう人生を歩んでいくのか、私楽しみにしているの。勉強嫌いでスポーツばかりしているところは、君と同じなんだけどね。それに私の息子と君の名前は同じ翔(かける)。だからどうしても君と私の息子の翔が重なるの。君のことが気になっちゃって。ごめんなさい看護師がこんなことを言っちゃいけないわよね」
「そんなことないです」
「じゃあ、わかってくれた?」
「……はい。でも」
 里奈を諦めるなんて僕にはできない。僕は恋をしている。
「でも、何?」
「里奈さんのことをこれからもずっと思っていていいですか? 好きでいていいですか?」
 歯の浮くような台詞だが、躊躇うことなく僕は言った。もちろん人生で初めての言葉。
「ふふふ。構わないわよ、こんなおばさんでよかったら」
「ずっとずっと好きです」
「ありがとう。翔君、君やっぱり女の子にもてるわ。私がもう二十若くて、夫と出会っていなかったら、きっと君のことを好きになっていたと思うわ」
「えっ? 本当ですか?」
「本当よ。ふふふ」
/28ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ