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犬山君
第1章 犬山君


次の週から新しい学校に通うことになって今日は転校初日。
知らない人ばっかりのところに入るなんて…すごく緊張する。


クラスで先生に紹介されて、席に座るように言われた。


一番後ろの席で、そこに行く間に注目されるのも恥ずかしくてよく周りを見れなかった。
席に着いてふと隣を見ると…


なんとこの前変質者を追い払ってくれたあの人だ。
腕組んで寝てる…。
まさか同じクラスで隣の席になるなんて…。


休み時間になると女の子達が私の周りに集まった。


「やあぁ!小さくて可愛いー!」

「わからないことあったら何でも聞いてね!」

「………う、うん///ありがとぉ…」


恥ずかしいよぉ…。

クラスがざわついていたその時だ。


ガタンッ


隣の席のあの人が立ち上がった。
すると教室は一気に静まり返った。


???


あの人は黙って教室を出て行くとまたざわめきが戻る。


「…えっと…あの人って…」

「あぁ、犬山武蔵(イヌヤマ ムサシ)って言って超ーコワイの!」

「近くの素行の悪い生徒の多い高校の上級生全員半殺しにしたり、あの歳で隠し子いるんだって!」

「……え」

「それも、相手を無理やり襲ってできちゃった子らしいよ」

「だからこの学校じゃ、犬山君には誰も近付かないの。花ちゃんも気をつけてね」

「…そうなんだぁ」


あの時助けてくれた人と同じ人だよね…?
最初少し怖かったけど、助けてくれたあとの時のこと思い出すとそんな事するような人に見えなかったんだけどなぁ…
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