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無垢な彼女
第4章 悪魔な彼女
上に向かって叫んでみるけど、騒がしくて声は全く届かなかった。
「駄目だ!どうするかな…」
「ふえッ…このまま淳君と雪ちゃんに会えなかったらどうしよう…ふうぅッ」
「大丈夫だって…小山、ほら泣くなよ?」
俺がしっかりしないと…小山を不安させる一方だ。
ヒュ~…ドーンッ!
花火が始まってしまった。
花火の音でますます声が届かなくなるので、一度小山の隣に腰をかけた。
「小山…木の間から花火見えるよ?」
「本当だー…ヒックッ…綺麗だねッ」
「あぁ…ごめんな?淳と見るの楽しみにしてたよな」
「武山君のせいじゃないもん…琴美が引っ張っちゃったから…」
「小山のせいでもないからな!」
「ふうぅッ…武山君も雪ちゃんと見たかったでしょ?」
「まぁ…雪ちゃんと距離縮められたらとか思ってたけどさ……あー…小山、泣くなって…服どろだらけで拭くものないな」
俺は花火の光でTシャツの泥がついてないところを探して、そこで小山の涙を拭いた。
「うえぇ…武山君、ごめ…ヒックッ」
「そりゃあ、不安だよな…上の人少なくなったらまた助け呼ぼう?その方が声届くだろうしさ」
自分の不安を紛らわす為でもあったけど、小山とどうでも良い話をして花火が終わるのを待った。