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無垢な彼女
第8章 甘美な彼氏
朝食はバイキングでついたくさん食べてしまう。
「……あんまり食べ過ぎるなよ?」
「そうだぁ…雄君と付き合うと幸せ太りするんだった…」
「…いや…別に太ってもいいけど…」
「太らないようにするもん…でもぉ…あそこに並んでるデザート食べたい…取ってきてもいい?」
「……駄目」
「なんでぇ?昨日もデザートなしだったもん…」
すると、ウエイターの人がやってきて私の食べ終わったお皿を片付けるとなんとチョコレートケーキを持ってきた。
「へ!?」
「こちら…鴨宮様からです」
あれ!?こんな高級ホテルって誕生日でもないのにケーキ持ち込めるの?
「……ここのホテルでうちのスイーツ取り扱ってもらってる」
「ええぇ!?じゃあ、あそこに並んでるのも?」
「…うん…優菜のは特別な」
「わぁ!お店もあるのに…こんな高級ホテルでも…」
鴨宮君…かなりやり手…
だから今日食べれるって…
「チョコレートケーキって雄君と最後の夜の日にくれたよねぇ…」
「……あの時かなり泣きながら食べてたから」
「また泣きそうです…」
「…泣かないで食べれるようになるまで何回でも作るよ」
涙がこぼれる前に急いでチョコレートケーキを口に運んだ。
「ふえぇ……美味しい…」
「…フッ…また作るようだな…」
10年前とは違う涙の味が混ざった甘くて美味しいチョコレートケーキ。
鴨宮君との甘くよろける様な時間はまだ始まったばかりだ。
*おわり*