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無垢な彼女
第1章 無垢な彼女


カゴバッグからポトッと何かが落ちる。


薄いピンクのチェック…花柄…


「やば!」


落とした奴が急いで落ちた物を拾おうとした時、それを取ろうとした俺よりも先に取ったのは長谷川だった。


「あれー?もう一つ水着持ってたんだ……この水着来るとき琴美が私に見せてくれた水着とお揃いだねぇ」


長谷川はにっこりしてそう言うと誰も何も言わなかった。
にっこり微笑む瞳の奥に殺気があるのをビッチ三人も俺も気付いていた。


多分…いや…わからないけど…長谷川は敵に回したらいけないような気がする……。


「ねぇ……小学生用のスクール水着じゃなくてこっちの水着貸してくれるよね?」

「も、も、もちろん!こっこれ、さっき拾ったんだよねー」

「そうそう!小山さんのだったのー?ビックリ!届けるつもりだったからまさかこれ貸すわけにもいかなかったから!」


すると、琴美はまた泣き出した。


「うえぇ…水着…あって良かったぁ…拾ってくれて…ヒグッ…ありがどう…」

「更衣室一緒に行こっか…琴美も早く着替えに行こう?」

「…ヒックッ…うんっ!良かったー!お財布出すときに落としちゃったのかなぁ?」


女子達は更衣室に向かって行った。


「長谷川と小山は騙されてたけど、あのビッチ達嘘吐くの下手だなぁ」

「は!?」


琴美は長谷川の口添えがあったし多分マジで自分が落としたと思ってるけど、長谷川は完全に…そうは思ってないだろ。

しばらくして出て来たのは琴美と長谷川だった。


「三人は?」

「琴美が着替えてる間に四人でお手洗い行ってお話してたら、三人共あとは遊園地の方行って帰るって言って行っちゃった」

「へーそうなんだ。もう、プール飽きたんかな?」


ちげぇよ…なんか恐ろしいことがあったんだよ…。

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